有料老人ホームの失敗しない選び方!問題施設を見抜くポイントとは?
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今回は2月23日のめざましテレビ「ココ調」より、いつかお世話になるかもしれない老人介護施設にスポットを当て、入居しても安心な施設・要注意の施設などについてご紹介します。
『絶対に失敗しない有料老人ホームの選び方』『老人ホーム探し50の法則』といった著書も持つ有料老人ホーム入居支援センター代表理事・上岡栄信さんが、チェックポイントを指摘します。
昨今の老人介護施設の話題
現在放送中のドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」では、ヒロインが働く老人介護施設の労働環境の描写があまりにも過酷だということで、日本介護福祉士会から苦言が呈されたことが話題になりました。高齢化社会とは裏腹の人手不足ゆえ、重労働ぶりは想像つきますが、あまりにデフォルメがきつ過ぎると更に雇用確保が難しくなるなどの問題もありますし、仕事に誇りと喜びを持って取り組んでいる人たちから見ると、「それだけの仕事じゃないのに…」と一言物申したくなるのも無理はないでしょう。
一方リアルでは、神奈川県川崎市の有料老人ホームで元職員が入居者をベランダから突き落として殺すというショッキングな事件が発覚しました。
容疑者は入居者のお金を盗んで逮捕・解雇された前歴もあったとのことです。
労働条件がどれほど苛烈であっても、窃盗・殺人が許されるわけではありませんが、老人介護施設について考えるための問題提起になる事件でもありました。
どんな人もいつかは年をとり、老後は施設で余生を送ることを検討している人も少なくないでしょう。
上岡栄信さんの本
1、エントランスからチェック
まずは「玄関」です。掃除が行き届いて清潔感があるのはもちろんのこと、抵抗力の弱い高齢者の施設ですから、見学者や面会者が消毒するためのアルコール液などはありますか?
観葉植物の手入れは?
季節感のあるレイアウトに工夫がある?
等々、見るべきところはたくさんあります。
観葉や季節感あるレイアウトというのは、そのものの有無というよりは、スタッフが心にゆとりを持って介護の仕事ができているかどうかの指標になるので、結構侮れないようです。
これは意地の悪い目でアラを探すというよりも、入った瞬間に感じる「感じがいい」「説明できないけど不穏な感じがある」「なんだか暗い」といった、「印象」ととらえるべきかもしれません。まさに玄関は「顔」ということですね。
2、見学はできれば昼食時などに
食事時の様子は、入居者とスタッフがどんな関係なのかが伝わりやすいようです。
お互い明るい表情で会話しながら食事を楽しんでいたら、それだけでも「いい施設だな」と思いそうですよね。
試食が可能ならば、実際に食べることをおすすめします。
食は生活の基本ですし、実際に自分が入居する、家族が入居するとなったら、そのごはんを楽しんで食べられそうというのは、施設選びの重要ポイントになるでしょう。
余談ですが、以前、北東北のある老人施設でたまたまお昼をごちそうになったことがありますが、高齢者向けにご飯がかなり柔らかく炊けていたことと、少し薄味だったのが気になったものの、おおむねおいしくいただきました。
野菜、魚、お豆腐など、栄養バランスにも味にも配慮された、心づくしのメニューだったと思います。
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3、非常時の心構え
「備えあれば憂いなし」はどんな状況でも真理です。非常時の食料品や物資などの用意は万全でしょうか。
また、ただ備蓄があるだけでなく、洪水浸水、地震など、あらゆるシチュエーションを考え、どんなときでもその物資をきちんと使える工夫や配慮がしてあるかも要チェックです。
この非常用備品の充実度で、経営者の責任感の高さを見抜く事ができます。
軽い見学の際に、あまりにも突っ込んだ質問や要求はしにくいかもしれませんが、具体的に入居を考えている場合は、ある程度手の内を明かしてもらう必要があります。
4、複数の職員に「質問」してみる
続いて介護職員のチェックポイントです。施設スタッフに、「こんなシチュエーションでは、どんなふうに対応しますか?」と複数人の職員に質問してみましょう。
きちっとマニュアル化され、スタッフが異口同音に同じ回答をしてくれればちょっと安心。
答えられないスタッフがいたり、質問した人によって答えがまちまちだったりした場合、スタッフ教育が行き届かず、統一見解もできていない証拠ですから、トラブル時の対応が心配です。
また、介護職員の入居者へのサポートの仕方や入居人数に対する介護職員の人数もポイントです。
法律では入居者3人に対し、介護職員1人以上の割合が義務付けられていますので、しっかりチェックしましょう。
5、こんなホームは要注意〔契約しないこと!〕
「まずは見学から」というつもりで行ったにもかかわらず、「今空いている1室が最後なので、早く決めたほうが」などとせっついて、強引に契約させようとする施設があるといいます。
大抵の方はここで不審に思いそうですが、モヤモヤしながらも強引に押し切られる心配もあります。
長期にわたってお世話になる可能性もある生活と介護の場ですから、くれぐれも慎重に。
また、いざ契約の段になったとき。
施設についての詳細が記された「重要事項説明書」という書類があります。
これを「契約しないと見られない」などと伏せようとする施設は、契約自体を再考したほうがいいかもしれません。
まとめ
今回、番組内で取材対象となった2つの施設で、入居者に「施設を決めた理由」を質問したところ、「自宅から近い」という回答が多かったようです。本格的な介護はプロに頼るとしても、ご家族がすぐ会いにこられる距離、何かあったときに駆けつけやすい距離というのは心強いでしょう。
逆にいえば、そういったことを「基準」に施設選びをしたとしても、つまりどの施設に入居しても、スタッフの皆さんが施設の環境維持に心を砕き、熱心にお世話してくださっているということですから、本当に頭が下がります。
残念ながら、この施設は問題がありそうだと感じたら、力技でねじ伏せられたり、言いくるめられたりしないよう、しっかりとした意志をもって対応しましょう。
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