ヒルナンデス 女性一級建築士瀧内が教える37平米マンション激安リノベ術
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10月14日放送のヒルナンデスは「一級女性建築士のお宅 覗くンデス!」
以前の記事で狭い敷地を活かしたローコスト住宅をご紹介しましたが、今回は、瀧内未来(たきうち みき)さん(35歳)が御主人と二人のお嬢さんとお住まいのマンションへ訪問です。
「格安マンション37平米をフルリノベで快適空間に」とのことで、失礼ながら数字を聞いただけでも狭そう……としか思えないお住まいですが、一体どんな魔法をお使いなのか、興味深々です。
瀧内さんのインタビュー記事 御自宅の写真も
リノベーションとリフォームの違い
以前から比較的よく耳にしたリフォームと、最近よく聞くリノベーションという用語。ぼんやりとはつかめるけれど、それぞれの定義がよくわからないという方もいらっしゃるでしょう。
リノベーションとリフォームの違いとは
「リノベーション」は、建物の持つもともとの性能以上に新たな付加価値を再生させることで、
「リフォーム」は、老朽化した建物を建築当初の性能に戻すことを言います。
ウィキペディア
kurachiffon(クラシフォン)
2012年に設立され、「瀧内未来一級建築士事務所」は、暮らしとシフォン(柔らかな繊維・織物)を組み合わせた「クラシフォン」という名称がつけられています。
瀧内さんのセンスとアイデアに満ちた御自宅は、なるほど、さりげない生活感と、女子優勢のお宅特有の、いいにおいがしてきそうな柔らかさやしなやかさを感じさせるものです。
http://www.kurachiffon.com/
リビング兼寝室兼ホームシアター
玄関を入ると、大きなカウンターのあるキッチン(後ほど)。そこを抜けると、5畳分のリビングになっています。
50センチの小上がりと、アルコーブ風というか、次の間風というか、「部屋の中に部屋」のような空間が少し気になります。
正直、「こういうのがなければ、リビングもう少し広くなるのでは」という意味で「気になる」のですが、次々明かされる手の内を拝見すると、その素人考えが恥ずかしくなります。
まず、小上がりの部分は家族団らんのスペース。
そしてその下には、何と収納式のベッドが隠れていたのでした。
ベッドはベッドというだけでスペースをとりますし、布団は布団で収納スペースが必要です。
でも、「ベッド状態でしまっておく」という発想は、なかなか出てきません。
といっても、過去にそういう収納例を見たことがないわけではありませんが、またまた失礼ながら、少なくとも前に見たのはもう少し広い空間で、ただただ「外に物が出ているのが嫌だから、何でも壁の中に追いやっちゃう」という発想の方のものだったので、今回のは若干違っていました。
引き出されるベッドを見て、いい意味での「起きて半畳、寝て1畳」を実感しました。
人はあの空間があれば、寛ぐことも、眠ることも可能なんだなー、と。
この部屋の天井には、ごつい金具とビデオプロジェクターの投影機があります。
金具の方は、耐荷重100キロのハンモンックをつるすため。
これは御主人のリクエストだったのだそうです。
「生活のゆとりを感じるから」とのこと。
ビデオプロジェクターは、窓側にスクリーンを出して投影します。
狭い空間が、リッチの象徴のようなホームシアターになってしまうのでした。
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部屋の中に部屋、の正体
小上がりの後ろのスペースは、小窓があったり、引きだしがあったり、ちょっと不思議なつくりになっています。まず、小部屋の壁面にかけられた梯子をのぼっていくと、そこはロフトになっていて、お嬢さん2人のこども部屋として使われていました。
正直、これは想定内といえば想定内です。
まだ幼い女の子2人ということで、むしろこういう造りの部屋は大喜びしそうですし、割とよくある発想ではあります。
ところが、「よくるある発想」では済まないところがアイデアというものです。
このこども部屋、床の一部が透明になっているのです。
丈夫なポリカーボネート製なので、上に乗っても大丈夫だという専門家(瀧内さん)の言葉を信じ、上に乗ってのぞいてみると、そこには下には瀧内さん御自身の姿が?!
ロフトこども部屋の下の空間は、ウオークインクローゼット(300着収納可能)とランドリースペースになっていました。
つまり、瀧内さんがここで洗濯や片づけものをしているとき、上で遊んだり勉強したりしているお嬢さんたちは、ポリカーボネート越しに「ママ、あのね」と、思いついたときに顔を見て話しかけられるというわけです。
また、小部屋改めウオークインクローゼットの小窓ですが、ここはリビングで脱いだ衣類を洗濯に出したいとき、シューターの役割を果たしていました。(小部屋の内側に、ランドリーかごが待ち構えています)
そして、小窓の下の引き出し部分は、何と小部屋の内と外、どちらからでも引き出せるような造りになっているのです。
つまり、ベランダから取り込んだ洗濯物を、リビングでたたんで収納し、それをクローゼットの方で取ることも可能ということです。
渡部さんは「面倒くさがりですね」と突っ込んでいましたが、動線に全く無駄がない設計には、一同感心しきりでした。
巨大キッチンにグッズ全てを効率的に収納!
もともと中古の広いとは言えないマンションなので、キッチンスペースもかなり狭く、設備も寂しいものでした。そこな瀧内さんは、大きなカウンターをしつらえ、調理家電などをカウンターの下にすっぽりと納めてしまいました。
また、造りつけにすると値段が高くなり、その上自由度は低くなるので、安い市販品をうまく使ったり、取りつけ・取り外し自由な板を使って壁に自由にカスタマイズできる棚を自力で作ったりの工夫で、調理器具や食器類は、たっぷり収納できて、しかも取り出しやすいという状態でおさめています。
個人的には、カウンター前面が表紙を見せるタイプのブックシェルフになっているのがいいなと思ったんですが、ここにおさめられている本は、主に図書館から借りてきた絵本なのだそうです。
つまりは1、2週間程度でガラリと入れ替わるインテリアがわりでもあるのだとか。
となると、ジャケ買いならぬ表紙借りで本を選んでしまいそうですが、もちろん表紙がオシャレな良書も世の中にはたくさんあるので、そこは云々しますまい。
夫の書斎は壁掛け収納でスッキリ収納!
女子優勢のおうちとはいえ、パパの存在が認識できたのは、ハンモックのエピソードだけ……って、パパはいつもハンモックでつるされている?とはさすがに思いませんが、そう思っても不思議はないほど、お父さんっぽい空間がありません。日中はお勤めに出ているお父さんの空間は、キッチンの奥のわずかなスペースですが、ここも壁面の上手な利用で、細々したモバイルやガジェットの類もおしゃれに収納できる、れっきとした「パパの書斎」になっているのです。
壁にはられた「シンプル・イズ・ベスト」という毛筆の文字が、何となくユーモラスに映っていましたが、座右の銘なのか、撮影用に張ったのか、そしてどなたが書いたのか……ちょっとだけ気になるところです。
将来のこと
瀧内さん御自身もおっしゃっていたことですが、「こどもが小さいから暮らせる家」ととらえているようです。すばらしいアイデア満載とはいえ、それは事実でしょう。
お子さんたちの成長とともに住み替えの際には、人に貸したりして、といったことも、具体的にはないでしょうが、考えていらっしゃるとのこと。
一生モノとしての家にではなく、その都度、そのときのベスト(かベター)を追求して、ちょっとしたアイデアでそれを実現してしまう。
ひょっとして、この柔軟性こそが、「女性ならでは」なんじゃないかなと思いました。
まとめ
冒頭で渡部さんが、「37平米って学生さんの住まいの広さじゃないの」と、やや大げさにその狭さを強調し、それを受けてSHELLYさんが、「いやいや、私くらい成功した女性のひとり暮らし程度の部屋ですよ」とおどけて返していましたが、実際、瀧内さんのアイデアがなかったら、「そういう」部屋なのでしょう。もともとあった壁を取り払って開放的な空間をつくり出し、住まいを「部屋」や「家」という箱物ではなくて、空間の集合体のようにとらえている感じに惹かれました。
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